複雑な原材料サプライチェーンをナビゲート:パーストープの提案
パーストープのサステナブル潤滑剤担当Business Development Director であるElisa Swanson-Parbäckは、マンチェスターで開催された UEIL(欧州潤滑剤製造業協会)会議2023において、強靭で持続可能な原材料のサプライチェーン構築に関する課題と戦略について講演しました。
創立140年を超えるスウェーデンの企業であるパーストープは、特殊化学品のグローバルリーダーであり、潤滑剤市場に合成潤滑油の主要構成原料を提供しています。UEILの比較的新しいメンバーであるSwanson-Parbäckは、パーストープを紹介し、当社の持続可能な原材料への取り組みを採り上げました。講演では、原材料サプライチェーンにおける複雑性が増していることに焦点を当て、意思決定プロセスにおける協力、イノベーション、そして持続可能性の重要性が強調されました。
原材料サプライチェーンの複雑化
Swanson-Parbäckは、原材料サプライチェーンがより複雑化している要因について説明しました。まず、ビジネスのグローバル化により、異なる地域からの原材料承認の必要性やグローバルな原材料ポートフォリオの管理が求められるようになりました。さらに、特にREACH(Registration, Evaluation, Authorization, and Restriction of Chemicals)の導入により、地域ごとの規制の違いがより複雑化させています。REACHによる原材料の再分類により、潤滑剤ブレンダーに製品ポートフォリオの見直しを必要とする再処方のニーズをもたらしました。さらに、グリーンエネルギー転換用のバッテリー産業などの新興産業が原材料をめぐる競争を引き起こし、グリース製造メーカーにさらなる課題をもたらしています。
パンデミックと対策の影響
COVID-19パンデミックは、グローバルサプライチェーンの脆弱性を浮き彫りにしました。ロックダウン、国境閉鎖、輸送難により原材料の流れが妨げられ、グローバルサプライチェーンに強く依存している企業に大きな困難をもたらしました。Swanson-Parbäckは、欧州委員会の報告書を引用して、75%の企業がパンデミックによるサプライチェーンの混乱があると回答していると述べました。さらに、輸入制限や制裁措置が広がり、原材料の単一供給や複雑なバリューチェーンに依存する企業にとってさらなる障害をもたらしました。
高まるサステナビリティの重要性
サステナビリティは、原材料の選択とサプライチェーンマネージメントにおいて主要な要因となってきています。Swanson-Parbäckは、ドイツの新しいサプライチェーンデューデリジェンス法と、より厳格な欧州連合(EU)版の施行が予定されていることを取り上げ、企業が事業運営において持続可能性を考慮する必要性を強調しました。パーストープは、サステナブルな原材料の流通の重要性を認識しており、バージン化石燃料への依存を減らし、カーボンフットプリントを最小限に抑え、食糧生産に影響を及ぼさないことに重点を置いています。
サステナブル原料の選択肢と課題
パーストープは、森林や農業残渣、バイオ廃棄物などの資源から得られる有用な天然脂肪酸を含む廃油脂を活用しています。しかしながら、より多くの産業が持続可能性を採用するにつれて、他のエネルギー集約型産業とこれらの原材料をめぐる競争が激化しています。この課題に対処するため、パーストープはトレーサブルなマスバランスの利用を重視しています。これにより、新たな生産施設を建設することなく、再生可能な原材料やリサイクル材への移行が可能となります。このアプローチにより、バージン化石燃料への依存が減少し、品質、性能、規制遵守を損なうことなくカーボンフットプリントを減らすことができます。
追跡可能なマスバランスと認証
追跡可能なマスバランスにより、パーストープは再生可能もしくは化石原料の量をバリューチェーン全体を通して追跡し、透明性と説明責任を果たすことを可能にしています。Swanson-Parbäckは、バリューチェーンのパートナー間の信頼を築くために第三者認証の重要性を強調しました。パーストープの追跡可能なマスバランス方式、原材料、生産プロセス、および製品は、異なるマスバランスの認証の中でも最も厳格なISCC PLUSの認証を受けています。この認証により、企業の持続可能性への訴求がさらに強化されています。
Project Air: メタノール製造による持続可能性の推進
パーストープは持続可能性への取り組みを示すため、2019年にProject Airに着手しました。このプロジェクトでは、スウェーデンのStenungsundに、二酸化炭素の回収と利用(CCU)プラントの建設しています。このプラントでは、パーストープの製造オペレーションから回収された二酸化炭素と他の残渣ストリーム、バイオガス、再生可能な水素を、メタノールに変換します。再生可能な水素は、Uniper社によって設立された水素電解プラントから供給されます。Project Airにより、CO2排出量が大幅に削減され、Fit for 55/Green Deal政策目標に貢献し、トレーサブルマスバランスを通じて再生可能なメタノールを供給することで、サプライチェーンの強靱性を向上することが期待されます。
終わりに
Swanson-Parbäckは、原材料供給における課題の増加と潤滑剤産業が直面する複雑さを認識した上で、これらの課題を乗り越えるために、購買部門、イノベーション部門、規制管理部門、持続可能性部門など、部門間を超えたクロスファンクショナルな協力の重要性を強調しました。強靭なサプライチェーンを構築するためには、追跡可能なマスバランス、第三者認証、そして持続可能な代替品の採用など、積極的な戦略が必要です。これらの手段を講じることで、企業は原材料サプライチェーンの複雑性を乗り越え、持続可能性の目標に貢献し、カーボンフットプリントを大幅に削減した製品を提供することができます。絶え間なく変化する状況の中で、パーストープの持続可能な原材料に対するアプローチは、潤滑剤産業だけでなく、それ以外の産業にとっても価値があり、持続可能な未来を確保するための適応、協力、そしてイノベーションの重要性を示しています。
持続可能な潤滑剤のためのケミカルビルディングブロックについて、そして持続可能な旅がパーストープから始まる理由について、詳細はこちらをご覧ください。